2022年4月9日(土)
子宮頸がんワクチンの定期接種・キャッチアップ接種について
本日は4月9日(子宮の日)、子宮頚がん予防の日にちなんで子宮頚がんワクチンの案内をさせて頂きます。
2013年6月より経過措置をとられていた子宮頚がんワクチンですが、2021年11月より積極的接種の推奨が再開されました。それに伴い2022年4月1日より、これまで8年間接種を見送っていた方(推計260万人)のためにキャッチアップ接種という形で無料で子宮頚がんワクチンを接種できるようになりました。当面の間、12歳〜24歳頃までの幅広い年齢の方が無料で子宮頚がんワクチンを接種できます!
当院の接種希望の患者さまは、主に中学生以上の方が多く、本人が自分で考えて積極的に接種を希望されて来院される方が多い印象です。これを機会に改めてご家族で接種について考えるきっかけになればと思います。
【対象年齢・期間】
定期接種:小学校6年生〜高校1年生の3月
キャッチアップ接種:1997年4月2日~2006年4月1日生まれの方
【方法】
・3回接種、筋肉内注射
初回接種から2か月後に2回目を接種し、初回接種から6か月後に3回目を接種します
・接種しやすいように肩を出しやすい格好でお越し下さい
【日本における子宮頚がんの現状】
日本では毎年1万人の方が子宮頸がんと診断され、毎年約3000人の方が亡くなっています。7000人の方は自然に良くなるわけではなく、一部の方は子宮切除などの外科的治療が必要になり、妊娠や出産に影響が出たり、後遺症が残ることもあります。長期間のお休みも必要になるため社会的な問題も出てきます。罹患患者の中心は20-40代の若い世代の方になっており、この世代のがんでは最も高い罹患率となっています。
【子宮頚がんワクチンの種類と効果】
種類:シルガード9(9価)、ガーダシル(4価)、サーバリックス(2価)
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)を予防する効果があります。HPVには色々な型があり、定期接種のガーダシル・サーバリックスは日本で子宮頚がんの主な原因とされるHPV16/17型に対する予防効果が期待されています。
4価ガーダシルについて2020年のスウェーデンの報告によると、接種された方と非接種の方を比較したところ、17歳未満の定期接種の対象年齢で接種された方であれば罹患率は88%低下し、17-30歳で接種された方でも罹患率は53%低下しました。HPVはワクチンで予防できますが、一度感染するとワクチンでの排除はできませんので、HPVへの感染機会が少ない10代前半での接種が望ましいです。
9価のシルガード9は名前の通り9種類の型のHPVを予防できるワクチンで、2020年に日本で認可されましたが、アメリカでは2014年に認可され、現在すでに定期接種として採用されています。
※2023年4月より9価ワクチン(シルガード9)の定期接種・キャッチアップ接種が日本でも始まりました
【参考リンク】
・子宮頚がんとHPVワクチンの正しい理解のために(日本産婦人科学会)
https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
・HPVワクチンの接種を逃した方へ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html
・HPVワクチンに関する情報提供資材 (mhlw.go.jp)
・9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)について (mhlw.go.jp)