◆ 熱中症とは?
熱中症は「高体温」「脱水」「塩分不足」が原因で、体温調整がうまくできなくなる状態です。
体温が上がると体は2つの方法で熱を下げようとします。1つは、皮膚の血管を広げて血流を増やして熱を外に逃がそうとしますが、周りの気温が高いと熱を逃がすことができません。もう1つは、汗を蒸散(放熱)させて、熱を空気中に逃がそうとします。汗は皮膚の汗腺から分泌され、水分と塩分が含まれていますが、多量の汗をかくと水分だけでなく塩分も失われ、体液のバランスが崩れてしまうため熱中症のリスクが高くなります。
◆ 主な症状
①喉の渇き、濃い尿・尿量の減少
②顔のほてり、異常な発汗
③倦怠感、頭痛、吐き気、めまい
④脈拍の増加、息苦しさ、手足のしびれ、こむら返り
⑤意識障害(呼びかけに反応しない、真っ直ぐ歩けない、水が飲めない)
高体温になり水分が失われると、血液が濃くなり、口渇中枢を刺激し喉が渇きます。また尿からの水分の排泄を減少させるため、濃いおしっこが出るようになります。体内の重要な臓器の温度が上昇すると、全身の倦怠感(だるさ)や頭痛、吐き気といった症状が現れます。脱水になって血液の流れが悪くなると、血圧は下がり、めまいや立ちくらみ、もうろうとなり、重症だと気を失うこともあります(熱失神)。
血流の不足補うため心拍数(脈拍数)が多くなります。筋肉も血流減少に弱く、塩分の不足が追い打ちをかけるので、全身の筋肉痛やしびれ、こむら返り(有痛性筋痙攣・足がつること)が起こるようになります。
※頭痛、吐き気、ぐったりした感じで力が入らないときは熱中症の可能性があるため注意が必要です。
◆ 熱中症警戒アラートと暑さ指数(WBGT)
「熱中症警戒アラート」はWBGTが33℃以上になると発表されます。WBGTは気温・湿度・日射の3要素を基に計算され、湿度が高い日は特に危険です。
「熱中症警戒アラート」が全国各地で発表されています。これは、暑さ指数が危険値の33℃を超えると発表されていますが、暑さ指数はもともと1954年に米国で提唱された指標です。米国ではWGBT(Wet Bulb Globe Temperature)と呼ばれ、①湿度②日射・輻射(ふくしゃ)③気温の3つの温度をもとに算出されます。そして注目すべきなのは湿度7:日射・輻射2:気温1の割合でWGBTは計算されており、湿度の影響が非常に大きいということです。同じ気温でも湿度が高いと汗が蒸発(放熱)しにくくなり、高温になった体温が下がらず熱中症にかかりやすくなるためです。
※熱中症予防のために暑さ指数(WBGT)に関心をもってみましょう!
◆ 予防のポイント
①暑さに慣れる(暑熱順化):真夏になる前に、やや暑い環境での軽い運動を少しずつ始めましょう
②定期的な水分補給:喉が渇く前に、1時間ごとに100ml程度の水分を補給
③塩分も適度に補給:大量に汗をかいたときは塩分も忘れずに
④暑さを避ける工夫:日陰・日傘・帽子、エアコンや扇風機の活用、暑さ指数をもとに活動を控える
⑤高齢者や子どもへの見守り:暑さに対する水分不足の感覚が低下したり、調整機能が鈍くなりがちな世代にはこまめな声かけを
◆ お役立ち情報
環境省や厚労省のサイトでは、暑さ指数(WBGT)や予防リーフレットを掲載しています。
・熱中症予防情報サイト(環境省) https://www.wbgt.env.go.jp/
・熱中症予防のための情報・資料サイト(厚労省) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/
※こまめな水分補給・無理のない行動で、この夏を安全に過ごしましょう! 最新のクリニックだよりを見る